201108八幡平→乳頭温泉縦走

縦走というか横断だけど、八幡平の藤七温泉から、秋田駒ケ岳ふもとの乳頭温泉まで歩いてきた。
標高が低いので森林限界をこえず、非常に森が濃い。また、高低さもあまりないので歩きやすかった。宮沢賢治を読んでたらこの辺の「~森」というのは、盛り上がってるところ、つまりピークのことを言うらしい。そういう山頂ともいえないような盛り上がりをなんとなく連ねたようなルートである。

出掛けにちょうどテルマエ・ロマエを読んだところだったのだけど、作者が八幡平の温泉と乳頭温泉に取材に行ったと書いてあったので期待が高まった。確かに藤七温泉はすごかった。乳頭温泉は設備もアクセスもよくて一般向けだけど、もう秘湯とはいえないようだった。

写真
トラックデータ

■8/15
盛岡から八幡平頂上行きのバスに乗る。途中から乗客は自分ひとりだけに。
八幡平は眺望ゼロ。たまにツアーっぽい人たちがいる。ウサギがいた。
二時間ぐらい散歩して、雨が強くなってきたので藤七温泉に向かう。
途中の車道脇にももうせんごけとか普通に生えてて驚いた。

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道端に生える食虫植物(もうせんごけ)

藤七温泉はすごい。温泉のよさでは今まで行った温泉で一番だと思う。
内湯のほかに八畳ぐらいの露天風呂が河原に5,6こほってある。お湯は乳白色の硫黄泉。
すごいのは、足元から源泉がぼこぼこ沸いてくるところだ。板が敷いてあって隙間から沸いてくる。直接触るとちょっと熱いけど、露天でお湯も冷えるのでちょうどいいぬるさ。
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ぼこぼこ温泉

食事はバイキング形式で、山菜のバリエーションが豊富。
夜、もってきた宮沢賢治を読む。

■8/16
相変わらず雨。朝食が7時からなので、8時に出発。
しばらく稜線沿いで景色がよいはずなのだが、何も見えない。風は強くないので助かる。裏岩手縦走路なので、こんな日でも二組三人とすれ違う。
黙々と歩いて、大深山荘に12時着。地元の人が一人来た。この小屋はこのルートで一番新しいそうで、きれいで設備もよい。水場は遠い。
三ツ石山荘から岩手山に向かう道との分岐で、秋田駒のほうに別れる。

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藪が濃いほうに行きます。歩くとそれほどでもないけど。

ここから藪が濃くなって、山というより森に入る。相変わらず視界はないが、木道もないような小さな湿原などがあらわれて歩いていて楽しい。

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手付かずの湿原がたくさん

16時ごろ八瀬森山荘に到着。無人小屋でトイレが二階にある。
大深山荘であった地元の人がもうついていた。二時間前にはついていたらしい。早い。明日は車が止めてある八幡平まで登りかえすそうな。
夜、若干頭痛。羽のある生き物が飛んでいる音がする。
この小屋は、どの登山口からでも5,6時間かかる。満足感と不安感を感じながら就寝。

■8/17
5時起床。前線は南下したらしく、雨脚は弱まっている。6時出発。
曲崎山の登りがきつい。登ると案内版に熊っぽい剛毛が刺さっている。

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熊の痕跡が!

怖いので休憩もそこそこに先を急ぐが、その次のピークの大沢森の標識もかじられたあとがある。
10時ごろ大白森小屋に到着。カロリーメイト休憩。
しばらく登って、大白森湿原に到着。たっぷり30分は歩くぐらい広々とした湿原が広がるが、ガスってて景色は死後の世界である。

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ほとんど夢の中か死後の世界のような幽玄さ

大白森から小白森の間は足元が田んぼ状態。乳頭温泉から近い湿原なのに人が来ない理由がわかる。
鶴の湯分岐から蟹場分岐の間は、藪がこくブナも大きい。

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東北の山はぶながきれい

蟹場分岐を過ぎるとさらに標高を下げるのでやぶ蚊が多く、全行程最後の30分で一番蚊に刺された。
乳頭温泉の下山口(登山口)には15時前に到着。
この日は降りるまで誰にも会わなかった。

乳頭温泉では蟹場温泉に泊まった。乳頭温泉は最近有名で客が来る上に競争もあるからか、設備はよかった。内湯二つと露天ひとつ。 お湯が熱すぎたのがいまいち。藤七温泉よりも安い。

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蟹場温泉の露天風呂