201412天狗岳

2014年最後は、天狗岳に登ってきた。 写真

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赤:1日目、青:2日目

ここしばらく、冬季はスノーシューでノーピーク山行が多かったのだが、なんだかよじ登りたくなったのである。

天狗岳は初心者向けだが、東京から日帰りは難しい。渋の湯に前泊すればゆっくり寝られるので体力を温存できるのだが、渋の湯から東天狗往復で夏のCTで7hかかり、冬だと15時前の帰りのバスに間に合わない可能性が高いので、黒百合ヒュッテに泊まることにした。
黒百合ヒュッテも評判がよいようだが、去年の冬に前を通ったときにはものすごく混んでいて、中山峠から天狗岳への行列ができていたのが不安ではある。

同行者はたけしとFさん。
12月28日、いつものように途中の立川で行動食を買ってスーパーあずさ5号に乗り、茅野駅に1006到着。1025発の渋の湯行きのバスに乗り込むと、想像していたよりは混んでいない。大晦日はともかく、年末でもクリスマス休暇と正月の狭間のこの時期は空いているようだった。
渋の湯にバスが着いてからも、前回はツアーバスから降りて準備をする人々でごった返していたのが、今回はそんなことも無く駐車場が寒々しい。日陰の寒い駐車場でスパッツやアイゼンを装着する。

12時前に渋の湯を出発する。廃業したような渋ホテルを左に見て、橋を渡っていきなりの急勾配を登る。この辺は夏も冬も歩いていて慣れた歩き出しなのだが、やっぱり最初の登りはきつい。それでもアイゼンがよく効いて歩きやすく、久々の雪でテンションも高いので、1時間もしないうちに唐沢鉱泉からの合流地点に到着した。歩いていて気づいたが、今年は12月にしては雪が多いようだ。今日は晴れているが、明日は南岸低気圧が通過する予報なので、更に積もるだろう。

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合流地点

ここからは勾配が緩やかになり、今シーズン初の雪の感触を楽しみながら、渋の湯から2時間弱で黒百合ヒュッテに到着した。

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雪、多め。

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黒百合ヒュッテ到着。

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外ではテントが飛ばされていたw

とりあえず受付を済ませると、16時半に寝床の案内、17時半に夕食だという。明日は天気が崩れそうなので、晴れている今日のうちに天狗岳に登ってしまおうかと相談していたが難しいようだ。中山展望台ぐらいまで散歩をすることにした。

中山峠から左に登った見晴台から天狗岳の双耳峰がよく見える。耳というよりおっぱい的な形状だよな、とかへんなことを考えていたら、ヘリコプターが低空を飛んでいるのに気がついた。どこかへ飛んでいくふうでもなく、どうも遭難者でも探しているようでどうも落ち着かない。その場では結局なんだか分からなかったが、家に帰ってから調べると、その日天狗岳で遭難者が見つかったそうである。天狗のようなメジャーな山でも行方不明になってから一週間経っているとのことで、まったく油断ならない。冬の単独行はできるだけ避けたほうがよいだろう。

その記事

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天狗岳とヘリ

樹林帯の中山頂上から風の強い中山展望台に抜けると、蓼科山北アルプスへの見晴らしがきくようになる。また、今回は八ヶ岳らしくない立派な樹氷ができていて、もっと緯度の高い地方の山のようであった。ここからヒュッテに引き返した。

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中山展望台より。風が強い。

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樹氷とFさん

寝床は2階の大部屋に案内された。今日の宿泊者は30人程度ということで、大部屋でも余裕があり快適そうだ。夕食は定番のハンバーグ。コーヒー味の黒豆が面白かった。

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二階の大部屋。

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夕食。北アルプスの小屋に比べると寂しいが、こんなものかな。

翌朝は確か6時に朝食。午後には晴れるという予報だが、今のところ雪が降っていて風も強い。気温は高いのがいやなところだ。少し遅めに8時ごろヒュッテを出発した。

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でっぱつ。

中山峠から右に折れてしばらく歩くと風の強い稜線に出る。服装はしっかりしているので体は寒くないが、顔が無闇に冷たい。
前後に別のパーティがいるので問題は無いが、トレースもすぐに薄くなっていくようである。新雪の稜線をわしわし登っていくと、ピーク手前の岩稜帯で先行者がいるな、と思っていたら、うわっという声とともに、空中に足が逆さまに見えて、そのまま消えた。滑落か!と思って大丈夫ですか、と大きな声を出したら、しばらくの間があって別の人が頭上に両手で大きな丸を描いた。そこまで登ってみたら、たいしたことはなかったらしいが、片手にピッケル、もう片手にストックを持っていて、ノーザイルで落ちたスノーシューを拾いに降りていたので、大丈夫かよ、と思った。

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露出補正ミスってた。

そこから雪溜まりを越えるのに、たけしが先行した後についてストックを立てて足をけりこんで2mぐらい登った程度が今回の核心部で、あとは東天狗ピークまで危なげなく登った。登頂は9時半、ヒュッテを出てから1時間半なので、まずいいペースだろう。展望もないので、トレースもない西天狗には行かずにそのまま中山峠に降りて、昨日の散歩道をまた辿り、中山展望台を通って、昨年泊まった高見石小屋で昼食のラーメンを食べ、賽の河原経由で渋の湯に降りた。

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核心部のFさん

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東天狗ピーク

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カメラが凍る。

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高見石方面はおだやか。

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賽の河原

渋の湯に着いて、冷えきった体を温泉で暖めたりしていたら、バスの時間ぎりぎりになってしまい、あわてて茅野行きの最終バス1455渋の湯発に飛び乗って帰京した。