201007熊野古道その一(7/2)
一日目。4時おきで6時台の飛行機に乗る。寝不足が怖かったので前日も休みにしたが、後で考えるとこれが良かった。
電車に乗ると車窓は大雨で、この特急も本来は新宮まで行くところが、途中までしか行かないとのこと。梅雨時とはいえ、ちょっと不安になる。紀伊田辺の駅からバスに乗り換え、中辺路の歩き始めである滝尻についたのは、11時ぐらい。土砂降りである。
世界遺産センターみたいなところで身支度を整え、滝尻王子の裏から早速登り始める。王子というのは、大社の末社のようなもので、現存するのは多くはないが、昔は九十九王子といって百近くもあったという。梁塵秘抄口伝集によると、後白河院は34回も熊野詣をしているが、都度、王子の前で潔斎したり今様を詠んだりしたという。随分時間もかかったことだろう。
滝尻からの登りだが、実はここが日程中一番厳しいのぼりである。500mおきに標識が立っており、今日の目的地である近露は26、つまり今日は13km歩く。本宮は76である。
NOT KUMANOKODO.油断すると直ぐこの看板が立ってた。
しばらく登ると、不寝王子(ねずおうじ)があわられる。ここの登りで前日の寝不足を嘆く人が多かったんだ、などと冗談を言うが、実際寝不足じゃなくてもキツイ。さらに登って、やっと1があわられた。あと10倍以上かと思うと考えられない。
もう少し登っていくと、傾斜が緩くなり、見晴らしのよい展望台のある飯盛山に到着。風が気持ちよい。
さらに歩いていくと、民家が見えてき、路が舗装道路になる。13:30ぐらいに高原熊野神社に到着。ここには休憩所や棚田が見える見晴らしポイントもある。今日は大雨洪水警報が出ていると聞いたのはここの休憩所であった。
高原熊野神社
この辺は集落になっていて、舗装路をしばらく歩く。それを抜けるとまた植林の登り道である。池があったり沢が近くにあったりするので、たまにサワガニやカエルが道を横切る。今日は雨だから彼らも活発なようだ。カメラをぬらさないようにするのが一苦労である。
アップダウンを繰り返しながら植林の中を歩き続ける。大門王子、十条王子を通過するが、今は祠がたっているだけである。祠も再建で、本来どこにあったかも分らなくなっている王子も多いそうだ。
17:00ぐらいに大坂本王子辺りを歩いていると、Fさんの携帯に電話がかかってきた。宿の人からだ。もうしばらくでつく旨を伝える。大坂本王子の近辺は沢が涼しくて気持ちがよい。
大坂本王子を過ぎると、国道に一旦出るところに道の駅がある。ここでしばし休憩する。アイスが旨い。熊野古道のアイドル?とかガイドブックに紹介される牛馬童子についたころには暗くなっている。牛馬童子から近露まではずんずん下るだけである。
近露王子から宿までは500mもないが、疲れた足には随分と遠く感じられた。
あじさいの季節です。
宿は、その名も「ちかつゆ」。温泉を持っている民宿で、鮎飯が有名である。
この日は貸しきり状態だったので、濡れたカッパなどの装備を広げさせてもらってだいぶ助かった。風呂に入り、食事は鮎を乗せて炊いたご飯にほぐし身を混ぜ込んだ鮎飯と、温泉のお湯を使った豆腐鍋だ。温泉はアルカリなので、豆腐が溶けて豆乳鍋のようになる趣向。おいしい。
今日は、1から26だったが、明日は26から76まで歩くのを考えると愕然となったが、とりあえず考えないことにして寝る。