201408北アルプス表銀座(8/22)

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全行程(赤:1日目、青:2日目、緑:3日目、黄:4日目)

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全行程。横尾への下りが冗談みたい。

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1日目の行程。ひたすら登り。最初がGPSうまくとれてない。 

【1日目】
2014年8月22日金曜日の朝4時30分、日が昇る前だから夜という方が正確かも知れない、僕はぼやきながら安曇野のバス停に立っていた。
「前泊してるのになんでこんなに早く起きなきゃいけないんだよ。」
東京から北アルプスは遠い。その名に反してぜんぜん爽やかじゃない夜行バスで体力を消耗するのを嫌って、僕は前日の木曜日から夏休みをとり、中房温泉行きのバスが出発するビレッジ安曇野に泊まったのだった。早立ちで眠かったが、ビレッジ安曇野は悪くなかった。部屋の名前もこれから登ろうとする「大天井岳」だったし、研修施設らしいだだっ広い温泉も良かった。山に登るのに朝に弱いこっちが悪いんだろう。

始発からバスに乗ったのは僕一人。時間になるとミニバスは暗い中を音も無く走り出し、一番奥の席に陣取った僕はすぐ眠りに落ちた。
途中、どこかの停留所でたくさん人が乗ってきて、バスの増便も出たような気がするが、よく覚えていない。気がついたら中房温泉の駐車場についていた。
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中房温泉行きのバス

バスは6時頃に着くのが分かっていたので、夜行バスで来るFさんとAさんとはここで待ち合わせていた。ミニバスから降りると目の前に彼らが乗ってきたと思しきバス(これもあまり大きくない)が既に停まっていて、20人ぐらいの登山者が準備をしている中にFさんとAさんの姿が見えた。近づいて、
「くそったれの夜行バスはどうでしたか。眠れました?」と声をかけた。
「運の悪いことに隣に座った奴が席の幅の倍もあるような野郎で、難儀しましたよ」とFさん。ほら、だから云わんこっちゃない。トイレに行ったり仕度をして、標高1,462mの中房温泉の登山口を出発した。

合戦尾根は歩き始めから急登だったが、登山口から1kmのところにある第一ベンチには7時ごろには着いた。第二ベンチと第三ベンチの間からは明日以降歩く稜線が垣間見えたが、スケールが大きすぎて現実感がわかない。富士見ベンチからは、うっすら富士山も見える。みんな写真を撮っているが遠くて奇麗に撮れないだろう。
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富士見ベンチ

合戦小屋には9時半過ぎに到着した。合戦小屋の名物は西瓜ということになっている。シンクにぷかぷかと浮かんだ場違いな西瓜をバイト君がカットして売っている。まるで浜辺の安っぽい海の小屋みたいだ。せっかくなのでその一切れ800円の馬鹿げた西瓜にかぶりついた。こうして僕らは金銭で経験や思い出を購っていくのだ。ただし、そんなのは僕だけで、FさんとAさんは僕が西瓜を食べてる間中、賢明にもスタンプを押したりしてすごしていた。
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西瓜。旨い。久しぶりのかぶりつき

まあ、いずれにせよそんなこんなで乾きを癒し、再び急坂にとりかかる。また傾斜が厳しくなったようだ。

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合戦尾根の急登

しばらく登って、鳥兜の花畑に差しかかると燕山荘が木立の間からちらほら見えてきた。
「Fさん元気ですね。トレランやったほうがいいんじゃないですか。」
「そうですよ、もうそこまで走ったらどうです。」
Aさんと二人でけしかけると、本当にFさんが走り出した。ここはもう標高2,500m近い。冗談にしても息が切れますよ、と言う間もなく、Fさんは稜線に躍り出た。
「さあ、早く来てください、すごいですよ。」
AさんとぽかんとしながらFさんを追いかけて、稜線に出た。
すると、目の前には北アルプスの主稜線が夏の雲の下にどこまでも広がっているではないか。Fさんは前に燕岳に登ったことがあるから、この展開を知っていたのだ。ここまでずっと樹林帯の中を視界が無い状態で登ってきたから、このパノラマには圧倒されるしかない。まったくこの忌々しい急登が報われるというものだ。
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スイングパノラマで撮ってみた。

燕山荘には11:30到着。まだチェックインできないので、荷物を置いて休憩した後、燕岳に向かう。白い石灰岩の稜線を30分も歩けば山頂についてしまうのだが、全行程でこの間が一番印象深い。

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燕岳へ

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燕山荘を振り返る

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燕岳ピーク

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イルカ岩と槍ヶ岳

いるか岩や槍ヶ岳などを眺めながら往復して燕山荘に戻り、チェックインする。

部屋は新館の二階で、夏のハイシーズンのことだけあって相部屋である。時間があるので、ケーキセットやビールなどを食す。

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ケーキセット

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部屋。

夕食はハンバーグ。まずまずである。夜は下界の夜景も見えたが、稲妻が光るような不安定な天気で、翌日が心配である。

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夕食