201802網走

2回目の北海道である。前回は夏で、女満別空港から雌阿寒岳羅臼岳に登り、網走あたりを観光したのだった。

今回もやっぱり女満別空港行きで流氷を見て、それから軽めのスノーシューを楽しもうという趣向だ。発端は一年前の年末年始、ネパールのABCトレッキングにさかのぼる。トレッキング中に知り合ったHさんが冬の間は女満別で仕事をしているというので、そういえば流氷をまだ見たことがないので見てみたいな、と思っていたら、今年は例年になく寒いので、ほんとに伺うことにしたのだ。

3月になると流氷も終わってしまうらしいので、2月の末、3/23(金)夕刻の飛行機で女満別に入り、3/25(日)の午後便で帰京する慌しいスケジュール。行きは幸いにしてマイルで取れた。

久しぶりに羽田の国内線でチェックインをしたら、荷物預けが無人(自動)になっていて驚いた。ザックの背中にスノーシューをくくりつけた状態で預けたので大丈夫かな?と思ったが、特に何もなく無事女満別で受け取れた。女満別から網走まではバスだ。流氷を見る砕氷船のおーろら号は道の駅から出るので、その近くに宿を取っていたので、網走のバスターミナルから少し歩く。寒い。ホテルは夕食なしなので、町に出ると飲む所、それもスナック的なところばかりで食事をするところが少ない。ケンタッキーを見つけてほっとする。さすが網走、場末感が半端ない。もっとも、この辺は観光地だからかもしれない。

翌日、土曜日、Hさんが6時に車で迎えに来てくれる。天気もよさそうなので、いっちょ斜里岳(南峰)に登りましょう、ということで斜里方面に向かう。原生花園のあたりで日が昇ってきた。車を止めてもらって海岸に出てみると、早速、一面流氷だ。いきなり膝ラッセルではしゃぐ。

斜里のコンビニで買い物をして、根北峠に到着。何台か車が止まっている。スノーシューを履いて8時ごろ、樹林帯に入る。先行者のトレースがあるが、人気はなく静かで気分がいい。

1時間半ぐらい歩いて森を抜けると展望が開ける。左に斜里岳南峰、右に斜里岳東峰が見えて、真ん中に谷がある。谷を登りつめた奥に本峰があるようだがここからは見えない。上の方は雪煙が上がっていて寒そうだ。ここでHさんと相談して、天気もよくコンディションがよいので、東峰に登りましょうということになった。

一度、谷筋まで降りて、谷に沿って上っていく。夏はほぼ涸れ沢で、こちらからは登れないらしい。先ほどまでの先行者の足跡は別ルートに行ったのか無くなり、まったくの新雪歩きでテンションが上がる。

途中、孔があいていて川の水が見えたり、青いきれいな氷瀑があったり、非常に楽しい。振り返ると、うっすらたなびいて見えるのは国後島だそうだ。

12時半ぐらいに鞍部の手前に到着し、スノーシューからアイゼンに履き替える。風が強い。ここでうっかり耳当てを落としてしまい、おむすびころりんっぽくころころと転がり落ち、あっという間に見えなくなってしまった。Hさんが拾いにいってくれたが、残念ながら捕まらず。とかなんとか休憩をとったりしたりしているうちに、風が弱くなり青空も見えてきた。急になった傾斜をゆっくりと斜里岳本峰と東峰の鞍部まで登ると、目の前にのっぺりした斜里岳の山頂が見えて、見渡すとオホーツク海に浮かぶ流氷、テーブルのような海別岳、屈斜路湖などが目に飛び込んでくる。まさか自分が山上から流氷をみられるとは思っていなかったので感動である。

そこから一登り、14時ぐらいに斜里岳東峰に登頂。見晴らしは良いのだが、その分怖い。高所恐怖症なので、風景もそこそこに降りてしまったので、ちょっともったいなかった。

適当なところからショートカットして下り、やや迷いつつも往路に合流。行きに見た氷瀑まで降りてきたら、先行していたHさんがありましたよ!という。何だろうと思ったら、なくしたと思った耳当てが落ちている。後でログをみたら、水平距離で500m、垂直で200mも転がっていたのである。山でなくしたものを回収できるのは珍しいので、大事にしようと思った。

だんだん疲れてきて、根北峠に戻ったのは暗くなりかけの18時前であった。驚きの9時間半行動である。スノーシューでよくこんなに動けたと思う。我ながらよほど楽しかったのだろう。

夕食は、斜里のHさんお勧めの店でいくら丼。サケマスのメッカということはいくらのメッカでもあるのだ。たしかに粒がしっかり大きくてうまい!

ホテルに戻るとオリンピックで地元北見のチームのカーリング女子の3位決定戦をやっていたが、眠気に負けて直ぐ寝てしまった。

二日目も、Hさんが車で迎えに来てくれて、能取岬から流氷を見て、海岸線に下りてアイスクライマーがやっているのを眺める。崖になっていて、地面が暖かいので雪が解けて凍って氷瀑ができるのだそうだ。オホーツク海を背にしたクライミングは爽快そうだ。

さて、目的だったおーろら号も斜里岳の前にかすんでしまったが、Hさんも一緒に乗ることにした。何でも、前日まで氷が厚すぎて湾内周航をしていて、昨日の最終便だけ久しぶりに湾外に出られたそうである。この日もたくさん流氷が浮かぶ中をクルージングできたので、まったく運が良い。船は2隻でるが、どちらも満員。外国人観光客が多いようだ。甲板に出ると、昨日の斜里岳や海別岳、知床連山もうっすら見える。下の階に下りると、目の前に流氷の塊が流れてくるので迫力がある。オジロワシと思われる鳥もいた。

昼飯はミートソースのスパゲティにカツが乗っているスパカツ。鉄板に乗っているのでなおさら迫力がある。根室の名物らしい。カロリー過剰なようだが、-15度なのでこれぐらいでちょうどいいような気もする。Hさんに空港まで送ってもらって分かれる。最初から最後まで完全にお世話になってしまった。ネパールに行かなかったら流氷もみてなかっただろうな、と思うと不思議である。