気象予報士をとりました

外出する機会がなくて書くことがないので、忘れないうちに去年とった気象予報士のことを書いておきます。

 

何でとったかというと、暇だったからというのが大きいのですが、もともと気象というか自然現象一般に興味はあるので本を読んだりはしていたんですね。

『一般気象学』(小倉義光、東京大学出版会

『日本の天気』(同)

 などです。何かの拍子に『一般気象学』が事実上の気象予報士試験の出題範囲だというような話を読んで、じゃあ、頑張れば受かるかもな、と思ったのです。

(それは学科一般の話で、それ以外に学科専門と実技があることを後で知るのですが)

 

それから、日本には四季がある、なんていい方をしますが、上記の『日本の天気』を読むと、やはり日本の気候は世界で一番変化に富んでいるといって良い。そういうことなら、一度ちゃんと勉強したら面白いのではないかとも考えたのです。

・中緯度に位置している。

・大陸の東岸に位置している。

・水蒸気が豊富

・アジア・モンスーンがある

最後以外はアメリ東海岸も同様で、NYを寒波熱波が襲ったり、フロリダにハリケーンがやってきたりしますが、やはりチベット高原を有するユーラシア大陸黒潮流れる太平洋の影響は一味違うらしい。モンスーンは日本では梅雨として現れますが、四季ではなくて、梅雨を加えて五季だ、という人もあるらしい。

確かに、海外旅行してみても、hot, hotter, hottestの3季だったり、乾季と雨季だったり、日本ほど明瞭で多様な変化は少ないように思います。

 

その他の興味としては、今の天気予報ってほとんどコンピューターの力でやっているんですよね。数値予報といいますが、地球を格子状に細分化したモデルを用いて、さまざまな物理量をスパコンをゴリゴリまわして計算し、将来予測を行っている。これは地上だけでなく上空80kmにまで及びます。物理量を天気に変換するガイダンスと呼ばれる過程では、ニューラルネットワークも利用しているそうです。

GAFAの技術が如何にすごいとしても、最終的なゴールは広告収入かと思うとがっかりします。銀行の基幹システムがノンストップでものすごいトランザクションを処理するといってもルネサンス期の複式簿記の発明からどれだけ隔たりがあるというのか。

ITの使い方として、数値予報のような「世界の再現」というのはとても夢があると思うのです。

 

試験のことを少し書いておきます。

・1月と8月の年2回。(6ヶ月毎ではないのに注意)

・学科が一般と専門の2科目。合格すると科目ごとに1年間(2回)、再受験を免除される。

・実技が1回(2問出題)。実技は学科が両方受かってないと採点されない。

という仕組みになっています。

 

僕は、令和元年度2回目(通算第52回)で学科だけ受けて合格、令和2年度1回目(通算第53回)で実技に合格して、気象予報士の資格を得ました。

学科は分かるんですが、若くないので忘れるスピードも早くて、覚えるのと忘れるのが平衡状態になってしまい、焦りました。

実技は、準備するのが遅くて時間を掛けられず、受験後は3:7で落ちたと思いましたが、ぎりぎり受かってたようです。有効な教材が少ないことと、必ずしも一意に正解が決まらないこと(読み取り誤差などによる)、試験時間が短いことが障壁でした。この時代なので動画解説をたくさんみることと、試験問題の誘導が親切なのでそれにきっちり乗っかることで、何とかクリアできたと思います。こちらも、細かい等圧線の読み取りで目はショボショボ、肩はバキバキになるし、全体的に自分の老化との戦いだったような気がします。

 

気象予報士になっても自分で予想するのではなく、当然気象庁の天気予報をみるのですが、確度を気にするようになったのが違いかなと思います。当たりやすい天気と予測しにくい天気があるのです。それから、地上天気図だけでなく、高層天気図も眺めて立体的な構造を意識する。コロナで引きこもる時間が増えましたが、いい時間つぶしができたと思っています。